FOWAに行ってきたよ
先週の木曜日と金曜日にFeature Of Web Apps、通称FOWAと呼ばれているWeb系のイベントがロンドンで開催された。facebookのMark Zuckerberg、diggのKevin Roseなどのスター起業家から、SunのTim Bray、元TwitterのChief EngineerのBlaine Cook、話題のJavascript framework Cappuccinoの開発者Francisco TolmaskyなどのエンジニアまでをSpeakerとして一同に集める、ロンドンでは(ロンドンじゃなくても?)なかなかお目にかかれないイベント。そんなわけでこのブログでも予告していた通り参加してきました。
セッション全体を通して興味深いと思った傾向が抽象化に対してのスタートアップの取り組み。スタートアップ企業のウェブ開発では、常にマーケットインするためのスピードと、その後のスケーラビリティや拡張性との狭間の意思決定で非常に難しい選択を強いられる。よく軌道に乗り始めたスタートアップに就職したエンジニアが、「外から見ると良くてもさ、中身はコードがスパゲッティでやってられないよ」みたいな文句を言うのを耳にするけど、彼らは「立ち上げる」ことがどんなに大変か知らないのだ。起業というのは、コースが未定で、レースの途中に制限時間があって、しかもゴールまでの距離が不明確なマラソンを走ってるみたいなものだ。最初の1kmは2分で走ってもらわないと失格です、といわれたら42.195kmのペース配分なんて考えてられない。先の例では、そんな風にして20km走った時点で、後から入って来た仲間に、「おいおいそんなんじゃ42.195km走れないよ」って言われるようなものだけど、そんな彼らも早晩そういう立場に立つ事になる。スケーラビリティや拡張性を考慮するのは大事だけど、パフォーマンスや運用コストが問題になってから考えればいいや、拡張する必要になってから考えればいいやっていう気楽さが必要だし、そのほうが効率が良いケースの方が多々ある。0kmの時点では色んな可能性があるわけだし、その可能性に全て手を打つ事で生じる機会損失を考慮しなければならない。
ただそんなスタートアップを取り巻く状況に多少変化があるのを今回のカンファレンスで感じた。原則的な考え方は一緒なんだけど、
- 2倍、4倍とどんどんユーザ数が増えるサービスに関わった経験を持つ技術者が増えた
- 同様にリアルタイムコミュニケーション系のサービスに関わった経験を持つ技術者が増えた
- そしてその経験がweb知として共有される機会が増えた
ことによって、0km地点での技術者のやれること(競争的な言い方をすればやらなきゃいけないこと)が多くなってる感じがした。例えばmemcachedなんかは0km地点でも、それほど手間を掛けずに設計に組み込むことができるだろうし、それは初期段階のユーザの急激な増加を捌くのに役立つだろう。 また、
- ajax以降のweb UIの進化がUIの差別化の評価が大きくしている
UIの層をキッチリと抽象化して、携帯電話、iPhoneなどのデバイスへの対応を意識したり、ユーザをクラスタ化して(初心者、上級者など)それぞれの見せ方を変えるとか。またヨーロッパではi18nもとても重要視されているので、そのへんの取り組みとか。会場にはヨーロッパ各国から参加者が来てて色々と話してみたけど、例え国民の英語能力が高いとしても、やっぱり英語のみのサイトは母国語サイトに負けるとの意見が多かった。この辺を考える事はアーキテクトとして当たり前じゃんという人も多いかもしれないけど、時間とコストの制約が厳しいスタートアップ企業が「やれること」の範囲は今もどんどん広がっていることを実感するのはやはり興味深い。
技術的な話以外では、VC、シリコンバレーとロンドン、クレジットクランチがスタートアップに与える影響などなど、色々とあったけど、個人としては小難しい事を考えずに、リラックスして、好きな事を楽しくやりたいって感じだし、おおむねみんなもそんな雰囲気。そんなのゴチャゴチャ考えたって、なるようにしかならないよねえ。
そうそう、セッションの1/3くらいがビデオで配信されているので、興味がある人は見てみてください。

市長さんごめんなさい。もうちょっとお色気のあること書けるように精進します。
テクニカルノックアウト。